ミヤザキのひとりごと

好きなものに関してああだこうだ言う

【アルバムレビュー】OKAMOTO'Sの7th Album「NO MORE MUSIC」がめちゃくちゃ最高だった(後編)

 

 

はい。続編です。

前編と同じく気になった曲について色々書いていきます。

 

前編はこちら。

komakomakamn.hatenadiary.com

 

06. NO MORE MUSIC

 

まずは聴こう。

 

www.youtube.com

 

はい。最高ですね。

 

最近MVが公開された曲。

このMV観た後、ちょっと泣きましたね...。涙腺がぶっ壊れているので...。

(涙腺がぶっ壊れている - ミヤザキのひとりごと)

 

NO MORE MUSIC。直訳すると「もう音楽はいらない」

古い音楽が好きな彼らがその名前をつけて新曲を発表。これは自分に向けての皮肉だし、それをアルバムのタイトルにするんだから凄い。

でもこの曲から滲み出る「音楽はもう要らないとさえ思える、それでも俺らは曲を書き続けるんだ」みたいな逆説的な思いを感じました。

 

曲調はこのアルバムの中でも1位2位を争うほどポップですね。邦楽らしい音楽。でも流行りのロックシーンの曲調とは反対の位置にいる曲。それを作るのがやっぱりOKAMOTO'S。

キャッチーなフレーズとわかりやすいメロディにクラップとか入れて、ライブで盛り上がりやすい曲に仕上がってます。

 

この曲がロックな感じで暗かったら救いはありません。誰も俺たちの曲を聴いてないと歌うこの曲がそうだったらただの鬱ソング(英詞だから日本人は訳も分からず聴くんだろうけど)、もちろん爽やか過ぎるからこその狂気は感じます。

でもこういった、真摯に音楽と向き合ったで踊ったり、騒いだり出来るのは素敵な事なんじゃないかなあ、と思います。

 

とにかくこの曲、歌メロが良過ぎるんですよね。

Everybody what’re you listening to now?
Everybody tell me some good music (Everybody tell la la lies)
Anybody see any good music
Anybody tell me some good music (Everybody tell la la lies)

 

英語分からなくても口ずさめるような語感の気持ち良さ。英詞での韻の踏み方はやっぱりNY生まれだから簡単に出来るんだろうな...。

 

この曲で話題になりがちなのがこの詩。

Everybody no pay for music

(みんな音楽に金を払うことをやめちまった)

もちろんこの詩も刺さるんだけど、僕的にはボブディランが言った言葉。

Noting the music industry's complaints that illegal downloading means people are getting their music for free, he said, "Well, why not? It ain't worth nothing anyway."

簡単に和訳すると音楽にはなんの価値も無いんだから、違法ダウンロードはいいじゃないか」みたいな。

もちろん違法ダウンロードは違法です(笑)。でもこの言葉の真意って、録音に関しての皮肉なんですよね。録音したものなんかに音楽の本当の良さは分からない。生の音楽こそ至上だ。みたいな意味が込められてるんです

 

実際この曲もそう歌いながら動画サイトに一曲丸ごと流してるし。

 

だからこの曲で本当に大事な部分ってこの詩だと思います。

Nobody’s praying for good music

(誰もいい音楽に祈らなくなっちまった)

祈る、の部分は個人的解釈だと思いますがこの曲の大事な詩だと思う。

 

この詩、終始ショウの被害妄想みたいな、みんな音楽聴いてるけど、俺の曲じゃねえんだろ?みたいなのが続くんだけど、それがOKAMOTO'Sの良さなんですよ。

前編でも書いたけど、OKAMOTO'Sの書く言葉、ショウの書く詩って文学的でもなんでもない飾らない言葉なんです。伝えたいけど伝わらない、もどかしい感情の羅列。

 

誰か俺に良い音楽を教えてくれと叫ぶこの曲。

 

少なからず音楽が好きな人は刺さると思います。

 

なんで音楽を聴くのか、なんで音楽で感情が動くのか。めちゃくちゃに考えさせられる一曲。

そんな曲を生で聴いて体を揺らしながら笑顔になれたらそれがもう答えだと思う。

 

自分の中で人生に残る一曲になる気がする。

 

 

07. WENDY

 

ギターのコウキがメインボーカルを務め、編曲にLOVE PSYCHEDELICO堂島孝平を迎えた一曲。

この曲でアルバムの二部が始まったという感じがしますね。

堂島さんはTHE BAWDIESのプロデューサーを努めることでも有名なすごい人ですが、この曲、完成度がすごく高いです。

 

アルバムの中でも異彩を放ってて山下達郎楽曲のような、実に邦楽らしいメロディとゴージャスな編曲、ギターのカッティングも心地よくて爽やか。歌メロのキャッチーさ。すぐに口ずさんでしまいたくなるような。稚拙な表現だとめっちゃおしゃれ。NO MORE MUSICかの流れも素晴らしい。

 

 

08. 時差

 

はい。最高です。(こればっかだな)

 

なんかの主題歌だった気がするんですけど(適当にググって)とりあえずめっちゃかっこいいです。

 

全編日本語詩。ブルース調です。この曲もOKAMOTO'Sの新しい形かな、と思います。

イントロのピアニカがとても印象的。叙情的なメロディなんだけど力強いベースラインがうまく合わさっていてかっこいい。

日本の80年代の音楽も混ざりつつ根底にあるロックンロールがうまくフュージョンしていて素晴らしいです。

 

 

09. SAVE ME

 

かと思いきや急なメロコアサウンド、ハードロックに近いオルタナロック

ジャンルレスなバンドになりつつありますね...。アルバム曲、今まで横ノリ音楽でしたがこの曲だけは縦乗りです。

OKAMOTO'Sがこういう曲を今更作ったのは意外でしたが、これも彼らの今のロックシーにおける挑戦な気がします。

俺らならもっとすげーの作れるぞ、みたいな。まあ実際そんな深い意味は無いと思います。(笑)

 

どうでも良いけどSAVE MEって直訳すると「助けて(不幸などに対する時)」になるけど本当に困った時は「HELP!!」ってなるからこういう文字を訳するときに難しさを感じる。

イントネーションだったりその時の状況、リアクションで意味が変わるから日本語の小説とかたくさん読んでる人が一から英語勉強するのってめちゃくちゃ大変なのでは??

 

脱線してしまった。

 

 

10. Star Light

 

ファンクな一曲。

散々皮肉という言葉を使ってるけど、僕は皮肉な表現が大好きなんです。

風刺画とかも大好きですが、どちらかというと皮肉な表現が好き。風刺はユーモラスで嘲笑的に表現していますが、皮肉は意地悪くてかっこ悪いんですよね。僕は性格がアレなので後者が大好き。

 

この曲は綺麗なサウンド、体が自然に揺れるようなリズムなんですが歌詞が皮肉だな、と思っています。(個人で受け取り方は違うと思いますが)

 

例えばこの歌詞。

真夜中のラジオを 聴けばかかる流行り廃りのポップソング
いつも僕らを置き去りにする

まあこの歌詞はモロに、ですが。(笑)

OKAMOTO'Sがこのアルバムで伝えたいことって、「良い音楽は流行ってるものだけじゃ無いよ、もっとたくさんあるんだよ、できれば俺たちの音楽も聴いてくれ。」みたいなものだと自分の中では思っていて。

というのもアルバムの終わりがこの曲というのが前述した考えに対して腑に落ちたんですよね。

照らしてほしいんだ どこか冷めたままで通り過ぎる名も無い星でも
君も同じように見えるの?
照らしてほしいんだ なんか寂しすぎて耐えられない長い夜には
どこまでも続いてく Star Light

綺麗すぎるこの詩も、照らして欲しい、って多分書いた自分たちのことなんじゃ無いかって。OKAMOTO'Sのことを照らして欲しいんじゃ無いかなって思うんです。

一曲目からの一貫したテーマがあるとしたらそこなんです。

そして最後の詩。

みんなどこに行ったんだろう?
みんなどこにいたんだろう?

そう考えるとめちゃくちゃ切ない詩、なんですよね。

 

 

このインタビューが面白くて。

ハマ「そうですね。そろそろ踏み台にされないバンドになろうと。ヤードバーズにならないように(笑)」

——確かにOKAMOTO’Sはロックミュージックの存在意義を問いかけてきたバンドですけど、踏み台にされてる意識ってありますか?

ハマ「ここ数年、結構追っかけられている感じはします。僕らが前から言ってきたことを、最近みんなが言うようになっていたり。言ってる張本人だからこそわかる感じはすごくあります。だから早くその先に行かないとなと思っています」

 

OKAMOTO’S インタビュー——『NO MORE MUSIC』に見るリアルなエモーション | USENの音楽情報サイト「encore」 | スマホで音楽を聴く | USEN音楽放送 | スマホアプリ | スマホでUSEN

 

いやインタビュアー辛辣過ぎ(笑)と思いつつその通りだな、と思います。

 

 

 

売れる音楽、流行る音楽、聴かれる音楽。

音楽にもたくさんの種類があるけど、このアルバムを聴いて思ったのは、バンドって大変だな(笑)です。

それは決して皮肉ではなくて。売れたいけど自分の音楽は殺したくない、みたいな葛藤を描いたアルバムを聴いたからそう思ったんです。

その葛藤がめちゃくちゃ良い方向に進んだ一枚がこのアルバム。

 

NO MORE MUSIC

 

もう音楽はいらないと銘打った一枚。それを聴くとOKAMOTO'Sの未来が楽しみになります。

 

 

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